売上を伸ばしたいけど、マーケティングについてはイマイチわからない…そんなあなたのために、マーケティングに関するノウハウを、様々なシチュエーションを交えて解説していきたいと思います。
今回は、前回に引き続き、過去の購買履歴の側面から分析を行うRFM分析について説明したいと思います。

前回はFRM分析について、分析の指標となる
- Recency(リセンシー、最新購買日)
- Frequency(フリークエンシー、購買頻度)
- Monetary(マネタリー、購買金額)
の3項目の簡単な説明をしてみました。
今回はこれらの項目のランク分け方法と、分析方法について説明をしたいと思います。
集計期間の設定について

前回ではランク分けの表を一例として示しましたが、FおよびMについては特に、集計する期間を考慮する必要があります。なぜならば、営業期間が長い企業が営業開始から今までの期間を集計設定してしまうと、数年前から来店・購入歴のない顧客などが上位ランクに入ってしまう場合があり、正確な分析ができなくなるからです。
実際にどのくらいの期間を設定するかについては、目安としてはデパートや通信販売などで3年間、スーパーや飲食店などでは1年間程度と言われています。
また、取扱商品によって買い替えサイクルが長い場合は、そちらを考慮して設定する方法も良いと思います。
ランク分け方法について
期間を設定して集計した後に、5つのランクに区分けをします。
こちらも前回業種業態などにより基準が異なってくると説明しましたが、例えば、RFMそれぞれの頻度分布を表にして、数値の伸びなどの特徴を見てランク基準を設定する方法や、単純に購買金額を多い順に並べ替えて5分割するという方法などがあります。
分析してみよう
Recency | Frequency | Monetary | |
ランク5 | 最新購買日が1週間以内 | 20回以上来店、購入 | 購買金額累計10万円以上 |
ランク4 | 最新購買日が2週間以内 | 15回以上来店、購入 | 購買金額累計7万円以上 |
ランク3 | 最新購買日が1ヶ月以内 | 10回以上来店、購入 | 購買金額累計5万円以上 |
ランク2 | 最新購買日が2ヶ月以内 | 5回以上来店、購入 | 購買金額累計2万円以上 |
ランク1 | 最新購買日が2ヶ月以上前 | 1回だけ来店、購入 | 購買金額累計2万円未満 |
- Rが高いほど、将来の収益に貢献する可能性が高い顧客
- Rが低ければ、FやMが高くても他社に流れていたり、転居している等の可能性がある
- Rが同じなら、Fが高いほどお店のファンになっている
- Rが同じなら、FやMが高いほどアップセルなどの営業アプローチの効果が高い可能性がある
- RやFが高くても、Mが少ない顧客はアップセルなどの営業アプローチの効果が見込みにくい
- Fが上がらないか下がっている顧客は、競合他社に流れている可能性がある
- RFMすべてが低い顧客は、お店に対して何かしらの不満を持っている可能性がある
次に、詳細な分析をしていくと、RFMすべてが5、つまり「5・5・5」の顧客は「最近も2週間以内に購入していて、20回以上来店、購入していて、購入額が10万円を超えている」という優良顧客になり、優待セールを行って良好な関係を築いたり、アップセルやクロスセルなどで売り上げを伸ばしたりする事ができるかもしれません。
逆に、「1・1・1」の顧客は「2か月以上前に、一度だけ、2万円未満の買い物をしている」という事になり、一見客かもしくは商品やサービスについて不満がある可能性のある顧客と言えます。営業アプローチをしてもほとんど効果がありませんが、この層の顧客を分析することで、今後の商品やサービスについて改善するための大事なポイントにもなり得ます。
他には例えば「1・5・5」の場合は「2か月以上購入していないが、以前はよく来店して買い物をしていた」と判断する事ができます。以前は優良顧客であったのに、なぜ最近は来ていないのか、原因(引越し、競合店に流れた等)を考え、できる対応があれば取る必要があります。
上記以外の中間層に関しても、こうした分析により、今後の営業アプローチで「5・5・5」に近づける事ができるか、そうでないかの判断をする事ができるようになると思います。
次回に続きます。
※ クロスセル … 以前購入した商品やサービスに関連したものの購買を勧めること。
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